美命の会所

室礼講座「お盆」 今回も深い学びでした

私の実家・秋田のお盆は8月13日。
仏壇にまこもを敷いたり、ほおずきや提灯を飾ったりと、
朝から仏壇をお盆仕立てに模様替えし、
夕方、集まった親戚とともに、浴衣を着てお墓参り。
子供のときは、お墓で花火をするのが楽しみでした。
お墓参りから帰ると、父が玄関先に迎え火をたき、
仏壇にも、テーブルにもごちそうが並び、
夜の宴会がはじまります。

花火をしなくなったり、親戚の数が減ったりと、
多少の変化はあるものの、いまもさして変わらない
秋田の実家のお盆の過ごし方・・・。

東京のお盆は7月13日と知ったのは、東京に移り住んでから。
それまで、日本のお盆は8月13日だと思い込んでいました。

お盆は、仏教行事「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と、
日本古来の先祖礼拝が融合したもので、
7月13日から16日までの4日間をお盆としたのは、
「盂蘭盆会」が、夏の修行が終わる7月15日前後に行ったことによるため。
ただし、
そのころは農作業の繁忙期と重なる地域もあるため、
8月13日から16日まで、月遅れの盆としたのだそう。

秋田のお盆は、月遅れのお盆ということだったのですね。

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この写真は、7月27日に行った室礼講座で
「お盆」を形にしたものです。

使われているものはすべて、お盆に必要なもの。
ひとつひとつ紐解いていきますね。

1)まこも
天には祖先が、地には私たちがいます。
天と地の間に中空という水場をつくることで、
天と地がつながると言われていることから、
水の中に生息している植物=まこもを仏壇に飾ります。

2)おがら(麻の皮を剥いだ茎)
おがらを折ると糸が出てきます。
この糸が天と地を結ぶ、という意味で、
迎え火と送り火に、おがらを焚きます。

3)鬼灯(ほおずき)
火の象徴。
火は慈悲の心を表しています。

3)馬と牛
室礼講座では、まこもでつくった馬と牛を使いましたが、
きゅうりとなすに、おがらを指して足をつくり、
きゅうりを馬、なすを牛になぞらえたものを飾るのが一般的でしょうか。
きゅうりとなすは、ともに蔓科の野菜。
蔓はへその緒を連想、先祖と自分をつなげてくれるもの。

馬のきゅうりは早く帰ってくるように、
牛のなすはゆっくり帰ってください、という願いを込めています。

ちなみに、先祖は東からやって来るため、
迎えるときは馬のきゅうりと牛のなすを西に向け、
送るときは東に向けるそう。

さらに、きゅうりとなすをさいの目にしたものもいっしょに
お供えするのは、帰る場所のない無縁仏にも
「どうぞ召し上がってください」という慈悲の心の現れです。

最後に、お供えするものについて。
お供えものには基本の五供(ごく)があり、それぞれにも意味があります。
格の高い順番に・・・
1)香
心身を浄化するという意味を持ち、
さらに、ただよいすみずみにまでいきわたる煙はすべての人に平等、
という仏の悟りの意味を持ちます。

2)火(あかり)
明るくともすというだけでなく、
己の身を削って火を灯すという火の性質は慈悲の心の現れ。

3)花
心も空間も清らかにする役割を持ち、
花の種類ではなく花の色が大切。
陰陽五行説の5行をに合わせ、
5色(青、赤、黄、紫、白)を飾るのが基本。

4)水
供える側の身を清めるという意味を持つ。

5)食べ物
命のつながり、先祖とのつながりの象徴。
だから、基本は自分たちが食べるものと同じものをお供えします。

五供は、お盆に限らず「お供え」の基本として覚えておきたいことですね。

秋田では、お盆はお正月よりも重要な行事で、
夏の帰省は、お盆に帰ることに意味があります。
仏壇の盆飾りもお墓参りも継承してきたことです。
でも、それだけではだめなのです。
あらためて、しきたりだけでなく、
その意味やルーツも理解し継承していくことの重要さを思い、
それをないがしろにしてきたことはとても恥ずかしいことだったと、
いまこうして学び直すにつけ思います。

秋田のお盆はこれからです。
今年は帰ることはできませんが、
室礼講座で学んだお盆飾りをして、
東京の我が家で、ご先祖さまに手を合わせてみようと思います。
ご先祖さまたちがいなければ、
いまの私は存在しなかったのですから・・・。

さて、次回の室礼講座のテーマは「重陽の節句」。
9月7日(木)14:00〜
この日も、
11:30からお茶のおけいこも開催します。

2講座ご参加の方は11000円(室礼講座の材料別〜3000円)
※材料費は3000円内、月によって異なります。
ご参加ご希望の方、
問い合わせフォームよりお願いいたします。