美命の会所

歳時記は日本を救う!?

10月1日の仲秋の名月の日、会所では
「七五三 冬至 彼岸」がテーマの歳時記講座でした。

その日は、講座テーマの室礼ではなく、
お月見の室礼にしてみました。
すすきを飾り、
塗りの三宝にはお団子の代わりにすし飯を13個(今年は閏年なので)盛り付け、
朱塗りの鉢には富山から取り寄せたお菓子「月世界」と
会員の方が差し入れてくださった空也の最中。

講座後は、先生が点ててくださる冷茶で
手毬寿司、月世界と空也をいただきました。

会員のみなさんとこうして季節を一緒に楽しめることがこんなに嬉しいとは!

自宅で静かに季節を装い楽しむのもいいですが、
同じ時間、同じ気持ちで季節(お月見)を愛でるその一体感が、
とても嬉しかったのだと思います。

一体感・・・、そう一体感!

1年でもっとも日が短い冬至の日。

冬至に、かぼちゃを食べるようになったのは、
日本にかぼちゃが伝来した江戸時代以降。
なぜ冬至にかぼちゃか?
それは、冬まで保存がきく、夏の太陽を浴びて育ったかぼちゃに、
太陽のエネルギーが詰まっていると考えたから。
割ったときに飛び込んでくるあのオレンジ色のかぼちゃに、
太陽を重ねあわせ、かぼちゃを食べたら太陽を取り込めると考えたのです。

一瞬とても単純でこじつけ的発想のように思えますが、
いえいえ、私はこのこじつけの感性、センスこそが
日本の文化をつくりあげてきたのではと思っています。

太陽の力がもっとも弱まっている冬至の日に、太陽に似たかぼちゃを食べる。
北から南まで日本中で。各家庭で。

「つまり日本中で、自分の中に太陽をとりこんで太陽を応援するのです」

先生のこの言葉を聞いたとき、私は、歳時記=暮らしの中の行事の意義とは、
一体感、共通体験で、自身の、そしてこの国のエネルギーを高めることではないかと、
思ったのです。

日本中の人々が、仲秋の名月には月を見上げ、
冬至にはかぼちゃを食べ、七五三には子供たちの健康を祝う・・・
同じ日同じ時間に同じものを見、捧げ、食べ、祈り感謝することができたら、
それはとてつもない大きなエネルギーになるのではないか。

そう考えると、何を祈り感謝するか、
決して利己的な祈りではないということがわかってきます。

日本中の人々が一体となって祈り感謝することができるのが歳時記。
または、
歳時記があるから、日本中の人々が一体となって祈り感謝することができ、
そのエネルギーこそが、この国を守る原動力ではないか。

つまり、歳時記は日本を救う!? ちょっとおおげさすぎ?(笑)

先日の歳時記講座で、私はこんなことを思いめぐらせていました。

天皇陛下の仕事は「祈り」だと言います。
祈りのエネルギーは私たちが思う以上に大きく強いと言います。

私たちも、利己の祈りではなく、利他の祈りのエネルギーを高めていけば
不安な未来ではなく、美しく豊かな未来をつくっていけるはず!!

商売繁盛、金運アップ・・・は祈りではなく願い。
その願いは、ご利益を明確に打ち出している神社に行って願うのが
いいのでしょうね(笑)。