隔月で開催している歳時記講座の今年最後の講座が先週終了しました。
最後のテーマは「お正月のしきたり」。
昨年も「へえ、そうだったの!?」「ずっと間違ってた」
の連発でしたが、今年も同じく(笑)。
そこで、ここに講座の内容に沿って、復習してみます。
そもそもお正月は、神様と過ごす時。
このことをしっかり認識しておくこと。
また、
お正月に使うものは、燃やすことのできる木の素材であること。
神様にお供えしともに使ったものはすべて、
お炊き上げし煙にして天に戻すのが基本。
このことを前提にしておくと、いろいろなことが合点がいきますよ。
1)歳の市
歳の市とは、お正月用品を買い揃えるための市のこと。
お正月の準備開始は、12月13日から。
2)注連縄、注連縄飾り
12月15日から飾ってよい。
注連縄は、神棚と家族の結界、注連飾りは外と内との結界。
いまは水引を使ったすお正月飾りがたくさん出回っていますが、
水引はあくまでも贈答用に使うもので、正月には一切使うものではない。
さらに、注連飾りは、動いてはいけない。
よって、玄関ドアにつけるものではない。
玄関ドアの横につけるとよい。
3)門松
一対のもの(一門/いちもんと言う)を飾るのが基本。
門松は、ここに来てください、という神様への目印。
よって、神棚がなければ、置く必要はなく、もし置いてしまったら
「迷い神」になってしまうので絶対に避けるべき。
4)年男
年男とは、お正月の準備から始末までのすべてを取り仕切り行う男性のことで、
祝い箸に名前を書く、おせちをつくるなど、
すべてその家の主人(男性)が行うものだった。
5)初詣
現在住んでいるところいいちばん近い神社=氏神神社に詣でるのが基本。
できれば宮司が常駐している神社がより好ましい。
いちばん近い神社に宮司が常駐していなければ、
宮司が常駐しているいちばん近い神社がよい。
1月6日の日没までは氏神さまに、
1月7日以降(1月15日まで)は信仰神社へ。
6)若水(わかみず)
新年の恵方から汲んでくる湧き水のこと。その年の一番水のこと。
これを現代になぞらえると・・・・
12月31日の日没後、水道の水を石器や陶器にためて、
元旦の朝、大福茶として飲むのがよいでしょう。
7)大福茶
ほうじ茶に小梅、こんぶなど、滋養によいものを入れて飲むお茶。
8)鏡餅
下の餅が太陽、上の餅が月を表している。
よって、みかんやきんかんなど、餅の上の乗せる必要はない。
三方に奉書(半紙や懐紙でもよい)を敷き鏡餅を飾る。
餅が邪気を吸収してくれるとも言われているため、
鏡餅は、松の内が終わる1月7日後に食べること。
邪気を吸収した餅を噛み砕いて体に入れる・・・それによって
邪気払いを完結させることができる。
9)おせち料理
基本は5段。
1段目は、祝い肴(黒豆、数の子、田づくりなど)。
2段目は、海と川の幸
3段目は、口取り(くりきんとん、伊達巻など甘いものと、ひとくちサイズの料理)
4段目は、山里の幸(煮しめなど)
5段目は、空にしておく
(来年は、5段目にもおせちを入れられるようによい年にしましょうという願掛けの意味)
10)神の恵みと海の幸
動物(鳥、豚、牛など)は神の恵み、魚は川の恵み。
神さまからいただいているものを、お正月に神さまと食すわけにはいかない。
よって、1月6日の日没まで(松の内まで)は、神の恵みは口にしない。
これがお正月に食べる料理の原理原則。
11)お雑煮
鶏だしのお雑煮はご法度。餅は基本丸餅で。
12)左義長
どんと焼き、火祭りともいう。
1月14日の日没後〜1月15日に、
注連縄、注連縄飾り、門松、箸袋、祝い箸・・・
正月用品をすべて炊き上げ煙にすること。
以上、ざっと復習してみました。
いかがでしたか?
私はこれまで、鶏で出汁をとったお雑煮を食べ、
角餅を食べ、
注連縄飾りはドアにかけ、
箸袋や注連縄飾りには水引をあしらい、
なんといっても氏神さまをないがしろにしておりました。
今年こそ、今年こそ、
正しいお正月を迎えてみようと思います。
本来お正月はとても質素なもの・・・
確かに、
注連縄飾りや箸袋から水引をなくしたら、
おせち料理から、ローストビーフやスモークチキンをはずしたら、
鏡餅からみかんを取り除いたら・・・
非常に地味ですね(笑)。
日本の神様は寛容です。
お正月という行事を大切に思い楽しく過ごしていたら、
神様は、少しばかりしきたりに反することも、
アレンジすることも大目に見てくれるのではと私は思っています。
ただ、
本来はこういう意味があってこれが正しいやり方、
ということは、日本人としてしっかり知っておきたいことだと思っています。
神様とともに過ごすのがお正月、
正月用品はすべてお炊き上げし煙にして天に戻す、
このことを肝に銘じて、
今年はお正月を迎えたいと思っています。
最後に、
お炊き上げできないものの処理について。
お札、箸袋、注連縄飾り・・・
お正月用品は、奉書や半紙(白い紙でもよい)にくるんでからごみ袋に入れて、
ごみの日に出す・・・、いまはこれしかないですね。
最終的には同じ焼却炉で焼かれてしまいますが、
自分が出すときだけは、他のゴミとは一緒にしない、
という配慮でのぞみたいですね。
次回の歳時記講座は1月13日(土)です。
会費は5000円。
ご参加ご希望の方は、このHP問い合わせフォーム、
または佐々木の携帯090-2638-6596まで
お申し込みください。